
哀しみ達が 涙を連れてやってきた
「シュプレヒコールに耳を塞いで」
この曲、冒頭の歌詞がすごい。
坂崎さんと高見沢さんのギターセッションがとんでもないことで有名なこの曲で、なぜあえてそこに言及? と思われるかもなのですが。
曲の中で延々と語られる当時の具体的な描写の中で、冒頭の抽象表現だけが今立っている現実として描かれている。
直接触れられてはいないけれども、大事な人の訃報だったのだろうか。それを皮切りに、過去への回顧から後悔まで全部流れ込んでくるのがこの曲である。
坂崎さんのハスキーな声が世界観にマッチしていて、一気に全共闘時代に引きずりこまれるような錯覚さえ覚える。
この歌に込められる後悔はとても痛い。
誰のせいでもないし、自分にはどうしようもないことだったのかもしれないけれども、結局君とは別れてしまい、そのことを今改めて悔いている。
熱に浮かされたような時代の中で、君は熱く叫んでいたのだろうけれどもたぶんこの人はどこか冷めていて、それが溝になってしまったのかもしれない。
けれども今なおやはり君に逢いたい。
繰り返されるサビは悲痛で、もう取り戻せないものであるということもこの人は知っている。
それでも繰り返さずにはいられない。
間奏で高見沢さんはいつも一心不乱にアコギを弾いていて、その表現はもはや弾くと言うより叩くに近い激しさなのだけれど、それに合わせている坂崎さんの表情はいつも優しくて、もうその距離感がこの曲で語られているこの当時の二人の距離感そのもののようにすら見えるのです。


コメント
@はなやさい
はなやさいさん、ありがとうございます!
文章褒めていただいてとても嬉しいです!
私の持っているCDはギターがメインで聞こえるのですが、古いCDも探してみますね!!
かりんさまの文章はとても洗練されていて、この時代を高見沢さんがどう捉えていたと受止められたのかよく伝わってきます♪私もこの曲は大好きです♡終わりなきメッセージと強く繋がりのある歌詞ですよね…
ぜひ一度間奏のギターセッションが無い昔のヴァージョンも聴いてみてください。桜井さんのベースのインパクトが凄くて、時代の生々しさが浮き彫りになっている様に私には感じられます。
@沼のたま子さん
時代を経験してないけど追体験できる!
まさに言い得て妙と思います!
高見沢さんの詞は映画のワンシーンのように情景が浮かぶので、そこに惹かれます!
@すずお
高見沢さんと桜井さんは明学附属なのでリアル世代ではないけど隣の敷地でやってたよねー、とか言ってましたね。
世代じゃないからフィクションとして書けるとも言われてたと思います。
その絶妙な距離感がリアリティあるフィクションとして胸に響くのかもですね
@2025フライングアウェー
私も本でしか全共闘時代を知らないです。生まれる10年以上前。
高校生だった桜井さんは自衛隊が落とした盾を拾って教室に持っていったら先生に怒られたとか言ってましたね
すずおさんもおっしゃる通り、アルフィーはど真ん中じゃなかったはずなのによほど影響があったんだなと……坂崎さんの本にも学生運動の話が出てきました。高見沢さんの小説にも。
時代を経験してないけど、アルフィーのおかげで色々追体験させてもらってます。
アルフィーさんの曲で繰り返されるこの時代、御本人達は少し下の世代で体験してないはずなのにリアルだよなといつも感じます。完全に熱が冷め、授業がないことだけが余韻のように残る大学で、何を感じたのだろうと、その曲中で必ず語られる年に生まれた私は思います。
全共闘時代、私は子どもだったので、この時代の事はよく知りません。高見沢さんの小説で、描写がありました。当時大学生の御三方は、そんな時代にどんな気持ちで過ごされてたなだろうか。と思います。